Avanti™ DSPC

1,2-distearoyl-sn-glycero-3-phosphocholine (DSPC)

18:0 PC(DSPC)は、炭素数18のアシル鎖を2本有する完全飽和型のリン脂質です。DSPCは、約55℃という非常に高い相転移温度を有することから、リポソーム型薬物送達、ワクチン製剤、ならびに脂質二重膜研究において中核的な脂質として位置づけられています。さらに、その高い安定性と低い膜透過性により、ナノ粒子ベースの治療薬や制御放出型ドラッグデリバリーシステムに不可欠な脂質であることが示されています。

18:0 PC(DSPC)は、長時間循環型リポソームにおける主要脂質として、医薬品用途において薬物の安定性、血中滞留時間の延長、ならびに精密な制御放出を実現する役割を担っています。また、mRNAワクチンや脂質ナノ粒子(LNP)ベースのワクチンにおいても重要な構成成分であり、標的抗原の送達効率および免疫応答の向上に寄与します。

さらに、18:0 PC(DSPC)は相挙動が詳細に解析・理解されていることから、脂質二重膜のモデリング、相転移研究、ならびにタンパク質―脂質相互作用の解析に適した脂質です。また、ゲル相から液晶相への相転移温度が高いため、サーモトロピック特性や機械的特性の評価においても広く利用されています。